この記事を読んでいるあなたは、
- モルタル壁が何なのかについて知りたい
- モルタル壁を外壁に使うメリットやデメリットを知りたい
- モルタル壁の補修方法を知りたい
上記のように考えているかもしれません。
今回は、そんなあなたに向けて「モルタル壁とは何なのか、モルタル壁を外壁に使うメリットやデメリット」などをお伝えしていきます。
モルタル壁とは?
モルタル壁とは、セメントと砂、水を混ぜたものを使い、職人さんが手作業で塗り上げた外壁です。
モルタルはペースト状の不燃性の外壁材で、外壁の下地材やレンガの接着剤などにも用いられています。
1970年代~1980年代の主流であった外壁材ですが、デザイン性が高いことから人気は衰えておらず、あえてモルタル壁を選ぶ方も少なくありません。
ただしモルタル壁には防水性が低いという欠点があり、定期的なメンテナンスが必要です。
ここではモルタル壁の耐用年数と、メンテナンス費用について説明します。
モルタル壁の耐用年数
国土交通省の資料によると、モルタル壁の期待耐用年数は20~40年、メンテナンス周期の目安は30年程度です。
耐用年数はサイディング材とほぼ同じであり、耐久性が高い外壁材といえますが、定期的なメンテナンスをしないと防水性が低下してしまいます。
モルタル自体の防水性は低いため、塗装をして防水性を高める必要があるからです。
たとえば使用している塗料の耐用年数が7年であれば、塗り直しの目安は7年ごとになります。
モルタル壁の耐用年数ではなく、塗料の耐用年数を目安に定期的な塗り直しを行いましょう。
モルタル壁の塗装・修理費用
モルタル壁の塗装や修理にかかる費用は、壁の面積や使用する塗料の種類などにより異なります。
塗装面積が広いほど塗料代や人件費がかかり、塗料の価格は種類によって異なるからです。
同じ30坪の建物でも、シリコン塗料の場合の費用相場は約70~120万円ですが、グレードの高い光触媒塗料や無機塗料を使うとより高額になります。
また、モルタル壁にひび割れや剥がれなどが発生している場合は、シーリング材による補修や左官補修の費用が必要です。
モルタル壁の塗装・修理費用は劣化状態や仕上げ方によっても異なるため、費用相場は大まかな目安として考えてください。
モルタル壁の仕上げ方
モルタル壁の仕上げ方は主に次の4種類です。
ここではそれぞれの塗装方法の特徴やメリット・デメリットについて見ていきましょう。
リシン
リシン仕上げとは、細かい石や樹脂、セメント、塗料などを混ぜたものを吹き付ける仕上げ方法です。
外壁の表面は砂壁のようなざらざらした風合いになり、落ち着いたデザインに仕上がります。
電動器具を使って吹き付けるため施工時間が短く、またリシン材が安価な素材であるため、工事費用を抑えることが可能です。
ただし塗膜が薄いため耐久性が低く、ひび割れが起こりやすいなどのデメリットがあります。
スタッコ
スタッコ仕上げとは、石灰や砂、セメント、塗料などを混ぜたものを使う仕上げ方法です。
スタッコ仕上げには、手作業で塗る方法と電動器具で吹き付ける方法があります。
主なメリットは、塗膜が厚く耐久性が高く、デザイン性に優れていることです。
表面に凹凸ができるため重厚感のある外観になりますが、汚れがたまりやすいなどのデメリットがあります。
吹き付けタイル
吹き付けタイル仕上げとは、複層仕上げ塗材と呼ばれる塗料を電動器具で吹き付ける仕上げ方法です。
リシンやスタッコに比べ、なめらかな仕上がりになるという特徴があります。
デザイン性に優れている、塗膜が厚く比較的耐久性が高い、ひび割れしにくいなどが主なメリットです。
高い技術力が必要な仕上げ方法なので、経験豊富で腕の確かな職人さんに依頼することが大切です。
左官仕上げ
左官仕上げとは、職人さんがコテやハケなどを使って表面に模様をつける仕上げ方法です。
扇仕上げやスパニッシュ仕上げ、スタッコ調仕上げなど、お住まいに合わせてさまざまなデザインにできます。
味のあるおしゃれな外観になりますが、職人さんの技術力によって仕上がりに差が出やすい仕上げ方法です。
吹き付けタイル仕上げと同様に、経験豊富な職人さんに依頼するとよいでしょう。
モルタル壁の3つのメリット
1990年頃まで外壁の主流であったモルタル壁には、どのようなメリットがあるのでしょうか。
ここではモルタル壁の3つのメリットについて説明します。
1.自由なデザインにできる
モルタル壁には自由なデザインにできるというメリットがあります。
サイディング壁と異なり、仕上げ方法やカラー、デザイン、素材を組み合わせることができるため、オリジナルの外壁に仕上げることが可能です。
特に、職人さんが丁寧に手作業で仕上げる左官仕上げなら、既製品にはない味や温かみを演出できます。
モルタル壁はひと昔前の外壁というイメージを持つ方も多いでしょう。
しかし、スタイリッシュな外観やエキゾチックな外観など、アイディア次第で理想のデザインに仕上げられます。
2.継ぎ目のない見た目に仕上がる
モルタル壁にはサイディング壁のような継ぎ目がないため、統一感のある美しい仕上がりにできます。
サイディングボードを貼り付けていくのではなく、モルタルを塗ったり吹き付けたりして仕上げるため継ぎ目がないのです。
また継ぎ目がないため、コーキング(シーリング)材の施工や定期的なメンテナンスも必要ありません。
継ぎ目のない美しい見た目に仕上がることに加え、コーキングの補修が不要である点もモルタル壁のメリットです。
3.耐久性・耐火性に優れている
モルタル壁のメリットとして、耐久性・耐火性に優れている点も挙げられます。
モルタルの耐用年数は、適切なタイミングでメンテナンスを行えば約30年と比較的長めです。
サイディング壁の耐用年数とほぼ同じであることから、耐久性に優れた外壁材といえます。
またモルタルは不燃性の素材でできており、万が一火災が起きても外壁が完全に燃え落ちることはなく、有毒ガスが発生することもありません。
このほか、モルタル壁は厚みがあり熱伝導性が低いため、遮音性・遮熱性に優れているというメリットもあります。
モルタル壁の3つのデメリット
モルタル壁にはデザインの自由度が高いなどのメリットがありますが、デメリットもあります。
外壁にモルタル壁の採用を検討している方は、どんなデメリットがあるか把握しておくと安心です。
ここではモルタル壁の3つのデメリットについて説明します。
1.工期が長い
モルタル壁には、サイディング壁よりも工期が長いというデメリットがあります。
なぜならモルタル壁は作業内容が複雑であり、乾燥させる時間なども必要なため、どうしても工期が長くなるからです。
職人さんが手作業で行うので、職人さんの技術力によって工事の進み具合が異なることもあります。
また、工期が長いとその分の人件費がかかるため、サイディング壁よりも施工費用が高くなりがちな点もデメリットです。
2.ひび割れが発生しやすい
モルタル壁の一番のデメリットは、ひび割れが発生しやすいことです。
ひび割れが発生しやすい理由には主に次の2つがあります。
- モルタルの特性によるひび割れ
- モルタル壁に継ぎ目がないことによるひび割れ
1つ目はモルタルの特性によるものです。
モルタルはセメントと砂、水を使って作られており、施工後も乾燥し続けています。
水分が蒸発すると体積が小さくなるため、モルタルそのものが縮んでしまい、細かいひび割れが発生するのです。
2つの理由には、モルタル壁に継ぎ目がない=コーキングがないことが挙げられます。
コーキングには衝撃を吸収する役割があるのですが、モルタル壁の場合は地震の揺れや衝撃がダイレクトに伝わるため、ひび割れが発生しやすいのです。
3.汚れやすい
モルタル壁はサイディング壁などと比べて汚れやすいという特徴があります。
仕上げ方法にもよりますが、表面がザラザラしていたり凹凸があったりするため、汚れが付きやすく落ちにくいのです。
特に日当たりの悪い場所はコケやカビ、藻などが発生しやすく、モルタル壁の場合は放置しておくとなかなか落とせないことがあります。
美観を保つためにも、こまめなお手入れや定期的なメンテナンスを行いましょう。
モルタル壁の補修が必要な症状
モルタル壁に以下のような症状が出ている場合、補修が必要になります。
それぞれの症状について解説していきます。
カビ・藻の発生
モルタル壁は、メンテナンスを行わなければカビ・藻が発生します。
カビ・藻はモルタル壁に付着した汚れを栄養として繁殖していきます。
カビ・藻が繁殖していくと、根が外壁内部に侵入してモルタル壁の劣化を早めます。
軽視されがちなことですが、カビ・藻が原因で漏水したという事案も見られます。
カビ・藻だからといって放置せず、対処するのが重要です。
ひび割れの発生
モルタル壁は、乾燥収縮によりひび割れが発生します。
理由としては、モルタルという材料の特性によるものです。
モルタルは、砂とセメントと水を混ぜ合わせて作ります。
水が蒸発することでモルタルの体積が減少し、収縮が起こるのです。
収縮した結果、ひび割れが起こります。
このようなひび割れから水が浸入すると、モルタル壁は徐々に劣化していきます。
色あせ・チョーキング現象の発生
モルタル壁の上には、必ず化粧材料が施されています。
この化粧材料は多くの場合、塗料です。
塗料には、顔料とよばれる色の素が含まれています。
顔料は、紫外線によって色あせが起こります。
また、この顔料が粉化し表面に現れてくる現象をチョーキングと呼びます。
外壁に触れたとき、チョークの粉のように白い汚れがつけばチョーキング現象が始まっています。
塗膜の浮き・剥がれの発生
モルタル壁を守る為に施される塗料は、膜を形成します。
膜を形成することで、水の浸入を防ぎモルタル壁が劣化するのを防止しているのです。
しかし、形成された膜の亀裂から水が浸入したり、膜の内側にある湿気が膨張することで、塗膜の浮き・剥がれが発生します。
一部の塗膜浮きが発生すると、その浮いた部分に亀裂が入ります。
そこから更に水が浸入していきます。
そして新たな塗膜浮きができるといった具合に負のスパイラルに陥ります。
モルタル壁の補修方法【劣化レベルごとに解説】
モルタル壁の補修方法を以下の劣化レベルごとに解説していきます。
それぞれ見ていきましょう。
【レベル1】外壁の汚れ・カビ・藻を落とす
外壁に汚れや藻・カビが発生したらブラシや皮スキで取り除きましょう。
汚れや藻・カビの付着が強くブラシでは取れない場合は、高圧水洗浄機を使用してみてください。
洗浄するだけでも、モルタル壁の寿命が延びます。
しかし、すでにクラックが見られるのであれば、漏水の原因になりますので、高圧水で洗浄することは控えて下さい。
【レベル2】ヘアークラックを外壁塗装で補修
ヘアークラックとは一般的に、0.3㎜未満のクラックです。
ヘアークラックは外壁塗装時に補修することができます。
なぜなら、下塗材を重点的にヘアークラック部分に塗布することで、0.3㎜の幅を埋めることができるからです。
塗装の仕様にもよりますが、補修工事を行う際の下塗りは弾性系の塗料を使用されることをおすすめします。
弾性系の塗料を使用することで、ヘアークラックの補修に加えて、今後起こりうるクラックも防ぐことができます。
【レベル3】Vカット補修
Vカット補修は、外壁のクラック(ひび割れ)の割れ幅が大きい場合に用いられる方法です。
割れ幅が大きいクラックは、構造クラックと呼ばれています。
クラックに対して、V字の歯を取り付けたサンダーという工具でV字型に削っていきます。
V字型に削ることで、補修材料の密着性が上がるとともに接着面が広くなるのです。
削った箇所に、さらに密着を良くするためのプライマーを塗布し、シーリング材を充填していきます。
充填し終わったら、ヘラで抑えて下地調整材でならし、その上からシーラーを塗り、最後に外壁と同じ色の塗料を塗って完了です。
【レベル4】塗膜を剥離して模様付けから再度行う
モルタル壁の塗装仕上げは、塗膜によって模様付けが行われています。
- 吹付けタイル仕上げ
- スタッコ仕上げ
- マスチックローラー仕上げ
現状の模様を変えるのであれば、一旦塗膜を剥離して新しく模様付けを行う必要があります。
その為には塗膜剥離剤を塗布し、ケレンまたは洗浄にて塗膜を剥がしていきます。
モルタル壁のメンテナンスの目安は?
モルタル壁のメンテナンスの目安は、5から10年程度です。
これは、モルタル壁の仕上げ材である塗料の劣化時期です。
環境によっては、期待耐用年数近くまで持つこともあります。
チョーキングを確認するために触診してみたり、外壁を目視で確認するなど、今すぐに補修が必要なのか見極めが大事です。
打診棒とよばれる工具を使って壁を叩いてみるのもおすすめです。
外壁を叩くことで音のニュアンスによって劣化状況を調査できます。
モルタル壁はDIYで塗ることは可能?
モルタル壁のDIYは可能です。
ただし、壁を塗るためには、仮設足場が必要になってきます。
それには危険が伴いますし、作業の進捗も思うようにはいきません。
工期が伸びれば伸びるほど、足場材料のリース費用も膨らんでいきます。
DIYは結果として、最初からプロに頼んだ方が安くついたということもありますので、費用のことだけで選択しないよう注意して下さい。
モルタル壁のお困りごとならリメイクホームにおまかせください!
モルタル壁の塗装の方法やその費用と期間から塗装の注意点まで解説しました。
私たちリメイクホームは、愛知県を中心に屋根工事や外壁塗装、リフォームを手がけています。
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