この記事を読んでいるあなたは、
- 瓦屋根のメンテナンス方法について知りたい
- 屋根瓦のメンテナンスにかかる費用や期間を知りたい
- 屋根瓦のメンテナンスを行ううえでの注意点を知りたい
上記のように考えているかもしれません。
今回は、そんなあなたに向けて「屋根瓦の劣化レベル別のメンテナンス方法や費用、期間や注意点」などをお伝えしていきます。
瓦屋根の種類は3つ
瓦屋根の種類は、以下の3つです。
それぞれ特徴を解説します。
1.粘土瓦
粘土瓦は、粘土を瓦形状に成形し、1,000℃以上の高温で焼き上げた瓦です。
高温で焼き上げることで粘土が強固になり、耐久性や遮熱性、耐火性を持たせています。
防水性にも優れており、表面塗装をしなくても雨水の吸収を防ぎます。
粘土瓦は、一般的な屋根材とは異なり塗膜保護が不要なため、メンテナンスフリーと言われる屋根材です。
また、粘土瓦は、製作工程によって以下の2種類に分類されます。
- 釉薬瓦
- 無釉瓦
「釉薬瓦」は、成形した粘土に釉薬をかけて焼いた瓦を指します。
陶器製品と同じ製作工程を踏むことから「陶器瓦」とも呼ばれ、防水性・耐久性に優れているのが特徴です。
釉薬瓦は、釉薬の効果で幅広い色・ツヤを出せるため、建物に合う瓦に仕上げられます。
一方で「無釉瓦」は、釉薬を使用せずに焼き上げた瓦です。
無釉瓦は、製作方法によってさらに「いぶし瓦」「素焼き瓦」「窯変瓦」「煉込瓦」の4つに分けられます。
和風住宅には、住宅に合いやすい渋い銀色の「いぶし瓦」が主に使用されます。
2.セメント瓦
「セメント瓦」は、モルタル(セメントと砂を混ぜて作られた建築材料)を成形して作る瓦です。
釉薬で色付けする釉薬瓦と異なり、セメント瓦は塗料で着色するため、経年とともに塗膜が劣化し、耐久性や防水性も低下します。
そのため、定期的にメンテナンスを行い、塗膜を保護しなければなりません。
セメント瓦の耐用年数は、およそ30年〜40年です。
他の屋根材と比べて長寿命ではありますが、台風や地震などの外的要因によって劣化している可能性もあります。
そのため、自宅の屋根材がセメント瓦の方は、一度、専門業者に依頼し、点検をおすすめします。
3.乾式コンクリート瓦
「乾式コンクリート瓦」は、セメントと骨材を水で混合させて成形して作る瓦です。
成形した後は、セメントスラリー塗装とクリアー塗装を施します。
着色セメントスラリー塗装とは、成形後に着色スラリー(無機質着色材)2〜3mmの厚みで塗装し、防水層を作る手法です。
クリアー塗装は、ツヤ出しや保護コーティングに特化した無色透明な塗料を塗布する手法を指します。
着色セメントスラリー塗装で作られた防水層(スラリー層)は、クリアー塗装で表面保護されてはいますが、耐用年数は15年程度です。
そのため、スラリー層が劣化して防水性能が低下する前に、メンテナンスを行う必要があります。
瓦屋根の耐用年数は?
瓦屋根の種類別の耐用年数は、以下のとおりです。
瓦は、スレートや金属製などの屋根材と比べて耐久性が高いのが特徴です。
なかでも粘土瓦はとくに高寿命で、耐用年数は50年を超えます。
セメント瓦と乾式コンクリート瓦の耐用年数は、ほぼ同等で30年〜40年程度です。
比較的高寿命な瓦屋根ですが、紫外線や地震、台風などの外的要因の影響で、塗膜が劣化し美観を損なうことはもちろん、耐用年数が短くなる可能性は十分にあります。
そのため、一般的な耐用年数に慢心せず、定期的な点検で瓦屋根の状態を確認し、症状に合ったメンテナンスを行いましょう。
瓦屋根のメンテナンスが必要な症状
瓦屋根のメンテナンスが必要な症状は、以下のとおりです。
上記の症状が見られたら、早急に施工業者にメンテナンスを依頼しましょう。
それぞれの症状を解説します。
漆喰の劣化
瓦屋根では、漆喰を用いて棟瓦(端末部)を固定しています。
漆喰を棟と平部の隙間を埋めるように刷り込むことで、棟の側面を下から支える仕組みです。
しかし、漆喰は吹きさらしの状態であるため、雨風の影響で徐々に劣化します。
漆喰の劣化を放置していると、雨水が棟の内部にある葺き土に侵入し、棟のズレや雨漏りの原因になりかねません。
そのため、瓦本体だけでなく、瓦を支えている漆喰も、定期的なチェックが必要です。
瓦のひび割れ・欠け
瓦屋根は、台風や地震などの衝撃が原因で、ひび割れや欠けが発生します。
瓦のひび割れや欠けを放置していると、危険な落下事故につながるだけでなく、屋根の下地に雨水が侵入し、雨漏りが発生する恐れがあります。
自宅の屋根材が瓦屋根の方は、台風や大きな地震が発生した後は、瓦に異常がないか確認がおすすめです。
ただ、屋根の上に登っての作業は危険が伴うため、外から目視で確認できない箇所は、専門業者に依頼して点検してもらいましょう。
瓦の色あせ
セメント瓦や乾式コンクリート瓦は、塗料で着色しているため、経年劣化によって色あせが発生します。
色あせは、塗膜の防水性能が低下しているサインです。
そのため、自宅の瓦屋根に色あせがみられる場合は、専門業者に依頼して再塗装してもらい、防水性能を保ちましょう。
また、外観の美観性を保つ意味でも、塗装メンテナンスは大切です。
カビ・苔の繁殖
カビや苔の繁殖は、色あせと同様に、保護層が破壊されて防水性能が低下しているサインです。
瓦に水が浸み込みやすい状態になっているため、放置していると雨漏りの原因になります。
瓦屋根にカビや苔がみられたら、専門業者に依頼して保護層を再構築してもらいましょう。
瓦屋根のメンテナンス方法
瓦屋根のメンテナンス方法は、以下のとおりです。
ひとつずつ期間や費用も合わせて解説します。
瓦の差し替え
瓦の差し替えは、瓦が破損した際に行うメンテナンス方法です。
瓦屋根は、地震や台風による飛散物の直撃といった衝撃を受けると、割れや欠けが発生する恐れがあります。
瓦が割れると、破損した場所から雨水が浸水し、瓦の下にある防水紙や下地材が傷んでしまいます。
最終的には雨漏りにつながるため、瓦が破損した際には、新しい瓦に差し替えて防水性能を保ちましょう。
メンテナンス期間
1日ほど
メンテナンス費用
5,000~8,000円/1枚
漆喰詰め直し
「漆喰詰め直し工事」は、既存の漆喰を取り除き、新しい漆喰を塗り直す工事です。
経年劣化で剥がれた漆喰を新しい漆喰に替えることで、棟瓦への雨水の侵入を防ぎます。
漆喰の耐用年数は、およそ10年です。
そのため、漆喰のメンテナンスは10年を目安に行いましょう。
前回の漆喰詰め直し工事をいつ行ったかわからない方は、すでに漆喰に劣化が生じている可能性があるため、専門業者の点検をおすすめします。
メンテナンス期間
1〜2日ほど
メンテナンス費用
4,000~7,000円/m
棟瓦の補修
棟瓦は、地震や漆喰の劣化が原因で崩壊する恐れがあります。
一度崩れると部分補修は難しいため、棟を崩して積み直したり、ガイドライン工法で耐久性を強化する方法が一般的です。
棟瓦の崩壊は、漆喰の劣化が進行し棟瓦に雨水が侵入することで起こります。
棟瓦の補修はメンテナンス費用・期間がかさんでしまうため、コストを抑える意味でも、漆喰の劣化具合は定期的に確認しましょう。
メンテナンス期間
1日〜2日ほど
メンテナンス費用
10,000~16,000円
防水紙の交換
瓦の割れや欠けを放置していると、瓦屋根の間から雨水が侵入し、防水紙を痛めてしまいます。
そのため、瓦の割れや欠けを発見したら、瓦だけでなく、防水紙も劣化していないかチェックしましょう。
もし防水紙に破れなどがみられたら、交換が必要です。
また、防水紙の耐用年数は20年前後です。
雨水による劣化が進行していなくても、耐用年数を迎える前に交換しましょう。
メンテナンス期間
3~5日ほど
メンテナンス費用
5,000~6,000円
※防水紙の種類にもよる
屋根塗装
瓦屋根に色あせやカビ・苔の発生がみられたら、塗膜が劣化しているサインです。
防水性能が低下している可能性が高いため、性能を回復させるために再塗装を行いましょう。
セメント瓦や乾式コンクリート瓦に塗布する塗料の耐用年数は、およそ10年です。
瓦への塗装は個人でも可能ですが、瓦に適している塗料の選定や、塗装に長けている専門業者への依頼がおすすめです。
メンテナンス期間
5日ほど
メンテナンス費用
50㎡の場合24.5万円
屋根葺き替え
屋根葺き替え工事は、防水紙や下地材の劣化がひどい場合に施すメンテナンス方法です。
既存の屋根材を撤去してから下地材を補修し、新しい屋根材を取り付ける工法です。
そのため、瓦の差し替えや屋根塗装などのメンテナンスよりも期間と費用がかかります。
下地材を含めた屋根全体を一度撤去するため、瓦屋根から別の屋根材への変更も可能です。
家の耐久性と耐震性を上げるために屋根を軽量化させたい方や、デザイン性の良い屋根に変更したい方は、あわせて検討をおすすめします。
また、屋根葺き替え工事は、大掛かりな工事になるため、家の周りに足場を設置して行います。
外壁塗装もあわせて依頼すれば、足場代が一回分で済み、コストを抑えて実施できるため、検討してみてはいかがでしょうか?
メンテナンス期間
7日程度
メンテナンス費用
20,000円前後/㎡
瓦屋根を塗装する際の注意点【材質別に解説】
瓦屋根を塗装する際の注意点を屋根の材質別に解説します。
DIYで行う場合は、これから解説する注意点を十分に留意して行いましょう。
セメント瓦を塗装する場合
セメント瓦を再塗装する際は、高圧洗浄と下地処理が必要です。
セメント瓦は、塗料を塗布して瓦の表面を保護します。
しかし、塗膜が雨風で劣化すると成分のルシウムが流れ出し、汚れが溜まりやすくなってしまいます。
そのため、瓦に汚れが目立ち始めたら、塗装を検討しましょう。
ただし、汚れが残ったまま塗装してしまうと、塗料が瓦に十分に密着しません。
塗装前には、高圧洗浄と接着剤の役割を果たす下塗り材を塗布しましょう。
塗膜の劣化が激しく、瓦の表面にざらつきがある場合は、下塗り材を2回または3回重ねて綺麗に仕上げます。
乾式コンクリート瓦を塗装する場合
乾式コンクリート瓦を塗装する際は、スラリー層の除去が必要です。
乾式コンクリート瓦には、瓦の劣化を防ぐためにスラリー層が施されています。
しかし、旧塗膜が残った状態で再塗装をしても、密着不良が起きてすぐに浮きや剥れが発生してしまいます。
そのため、乾式コンクリート瓦を塗装する際は、高圧洗浄を行なって劣化した塗膜・汚れを除去し、塗装を行える状態にしましょう。
自宅に高圧洗浄機がない方や、屋根上での作業に不安がある方は、業者に依頼して確実に行いましょう。
瓦屋根のメンテナンスはDIYで可能?
瓦屋根のメンテナンスは、必要な塗料や道具を用意すればDIYでも可能です。
しかし、自分で塗装すると、トップコートの密着不良が懸念されます。一度失敗した後のやり直し工事だと、塗膜の剥離作業や補修作業で莫大な費用が掛かる場合がありますのでご注意ください。また最悪の場合は防水層が上手く形成できず雨漏りの原因になる恐れがあります。
塗料が飛び散ったり、臭気がひどいと近隣住民からのクレームにつながることもあるでしょう。
専門業者であれば、周りの安全を確保した上で確実に施工してくれるので、DIYよりも専門業者への依頼をおすすめします。
瓦屋根のメンテナンスならリメイクホームにおまかせください!
瓦屋根のメンテナンス方法やその費用と期間から塗装の注意点まで解説しました。
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