この記事を読んでいるあなたは、
- 屋根裏換気が必要なのかについて知りたい
- 屋根裏換気の方法を知りたい
- 換気棟の個数と費用を知りたい
上記のように考えているかもしれません。
今回は、そんなあなたに向けて「屋根裏換気が必要な理由や屋根裏換気の方法、換気棟の個数と費用」などをお伝えしていきます。
屋根裏の換気が必要な理由
屋根裏の換気が必要なのは、住まいを長持ちさせて快適な生活を送るためです。
近年では、外気温の影響を受けにくい「高気密・高断熱」の家が増えています。
高気密・高断熱の家のメリットは、冬は暖かく、夏は涼しいという点です。
しかし、適切な換気をしないと屋根裏に空気がこもりやすいというデメリットがあります。
ここでは高気密・高断熱の家における屋根裏換気の必要性について詳しく解説します。
屋根裏換気で温度上昇を抑える
屋根裏換気が必要な理由のひとつは、屋根裏や生活空間の温度上昇を抑えるためです。
お住まいの中で最も太陽光の影響を受ける屋根裏は、換気口(空気の逃げ場)がないと夏場は内部気温が60℃以上になることがあります。
それほど高温になると、どうしても屋根裏にこもった熱気が生活空間に伝わるため、室温が上昇しやすくなるのです。
また、木造住宅の場合は木材が必要以上に乾燥してしまい、お住まいの耐久性に影響を与える可能性があります。
大切なお住まいを長持ちさせて生活空間の温度上昇を抑えるためにも、屋根裏の換気を行うことが大切です。
屋根裏換気で内部結露を防ぐ
内部結露を防ぐには、空気の流れを作るための屋根裏換気システムが欠かせません。
屋根裏の木材や断熱材の内部に結露が発生する原因は、湿度と温度差です。
屋根裏が適切に換気できていなければ、冬場だけでなく夏場にも結露が発生して天井のシミやカビなどの原因になります。
冬の結露と夏の結露の違いや、結露によるトラブルについて見ていきましょう。
冬の結露と夏の結露
冬の寒い時期に暖房設備などで生活空間を温めると、温められた空気は湿気とともに上へ上へと移動し、屋根裏に入り込んで結露を発生させます。
生活空間から上がってきた空気は温かくて湿っているため、屋根裏の冷たい木材や断熱材に触れることで結露が発生するのです。
また屋根裏換気システムがないと、夏の日中に屋根裏内部にこもった温かくて湿った空気によって結露が発生します。
夏の場合は、夜間に気温が下がったり、エアコンで冷やされた空気が入り込んだりすることで結露が発生するのです。
特に、外部の湿度も温度も高い「高温多湿」の夏は、室温を下げ過ぎると結露が発生しやすくなります。
屋根裏の結露によるトラブル
屋根裏に結露が発生すると、主に次のようなトラブルが起こりやすくなります。
1.雨漏りのようなシミ・カビの発生
屋根裏の結露が原因で、その下の部屋の天井に雨漏りのようなシミができることがあります。
特に冬場、大雨でもないのにシミが目立つような場合は、屋根裏の結露を疑いましょう。
また、湿気がこもるとカビが発生する可能性が高いです。
カビが繁殖すると、お住まいの寿命を縮めたり健康に悪影響を与えたりすることがあります。
2.木材の腐食
結露により発生する水分は木材の大敵であり、放置すると木材の腐食や劣化、シロアリの発生原因になることがあります。
木材の腐食は建物の耐久性に大きく影響するため、場合によっては大掛かりな改修工事が必要です。
屋根裏換気に関する基準
実は、屋根裏換気は建築基準法で義務付けられているものではありません。
しかし、住宅品質確保促進法(品確法)や木造住宅工事仕様書などには、屋根裏換気に関する基準が示されています。
屋根裏の熱気や湿気を外に追い出して結露を防ぎ、お住まいの寿命を延ばすには、適切な換気を行うことが大切です。
また基本的に、屋根断熱工法の場合は「屋根裏換気の設置」は不要ですが、湿気を追い出すための「屋根通気」が必要となります。
屋根裏換気の方法
屋根裏換気の方法には次のような種類があります。
- 軒裏換気
- 妻壁換気
- 棟換気
屋根裏換気では「軒裏換気」と「棟換気」、「妻壁換気」と「軒裏換気」というように、設置する高さが異なる換気方法を組み合わせるとより効果的です。
まず、それぞれどんな換気方法なのか見ていきましょう。
軒裏換気
「軒裏換気(軒換気・軒天換気)」とは、外壁から外側に伸びている屋根の裏側部分「軒天(軒裏)」に換気口を取り付ける換気方法です。
軒天に専用の換気部材や軒天有孔ボードを2か所以上設置することで、屋根裏にこもった熱気や湿気を外に追い出します。
軒天は雨の影響を受けにくい部分ですが、軒天有孔ボードの場合は強風により雨水が入り込むことがあります。
そのため雨や虫が入りにくい軒天専用の換気部材の設置が望ましいです。
また「軒ゼロ住宅」の場合は一般的な換気部材は設置できないため、軒ゼロタイプの換気部材を選ぶ必要があります。
妻壁換気
「妻壁換気(妻換気・妻面換気)」とは、切妻屋根のお住まい独自の換気方法です。
外壁の上部の三角になった部分「妻」に換気口を取り付けることで屋根裏の換気をします。
屋根裏の温度と外部の温度の差を利用した換気方法で、効率よく換気するためにできるだけ「妻」の高い部分に設置するのが一般的です。
妻壁換気のメリットは通気性に優れている点ですが、雨が吹き込んだり鳥などが入り込んだりするというデメリットがあります。
棟換気
「棟換気」とは、屋根の一番高いところにある「棟」部分に換気口(換気棟)を取り付けて換気する方法です。
温かい空気が上に移動するという特性を利用した換気方法で、最も効率よく屋根裏の熱気や湿気を外に逃がすことができます。
棟部分は雨の影響を受けやすい場所であるため、防水性・通気性ともに優れた換気棟を適切に設置することが重要です。
万が一施工不良があると換気棟から雨漏りする可能性が高いので、実績のある信頼できる施工業者に依頼することをおすすめします。
また換気棟にはさまざまなタイプがあり、ほぼすべての屋根に設置可能です。
換気棟の設置方法
ここでは棟換気の換気口「換気棟」の設置方法について解説します。
換気棟を設置する手順は次の通りです。
- 既存の棟板金の撤去
- 屋根裏の換気口の開口
- 換気棟の設置
新築時、あるいは屋根のリフォームやメンテナンスのタイミングで設置するケースがほとんどですが、換気棟の設置のみの施工も可能です。
1.既存の棟板金の撤去
まず屋根の頂上の水平な部分「棟」にある「棟板金」と「貫板」を撤去します。
「棟板金」は主にスレート屋根やコロニアル屋根などの金属屋根に設置してある板金です。
屋根材に雨水が浸入するのを防ぐなどの役割があります。
「貫板」は棟板金の中にある板で、棟板金を固定するためのものです。
2.屋根裏の換気口の開口
棟板金と貫板を外したら、「換気棟」を取り付ける位置に穴を開けます。
この穴が屋根裏の熱気や湿気を逃がすための換気口です。
3.換気棟の設置
換気口を作ったら、メーカーの仕様に沿って換気棟を取り付けます。
換気棟を取り付ける際は、シーリングや防水シートなどでしっかりと防水処理を行うことが大切です。
換気棟の必要個数・費用
お住まいに設置する換気棟の必要個数と費用は、屋根裏の面積(天井面積)と換気棟の種類などにより異なります。
屋根裏換気は建築基準法で義務付けられているものではありませんが、住宅金融支援機構の住宅ローン「フラット35」の融資条件のひとつです。
ここではフラット35の技術基準をもとにした算出方法を解説します。
屋根裏換気の有効換気面積
フラット35の技術基準では、屋根裏換気の有効換気面積について次のように定めています。
- 「吸気孔」は天井面積に対して1/900以上
- 「排気孔」は天井面積に対して1/1600以上
換気棟は「排気孔」となるので、天井面積の1/1600以上の開口部が必要です。
たとえば天井面積が50㎡の場合は50×1/1600、天井面積が100㎡であれば100×1/1600以上の開口部が必要となります。
また換気棟は、タイプごとに有効開口面積が異なります。
換気棟のタイプ | 有効開口面積 |
S型換気棟0.5P | 90㎠ |
S型換気棟1P | 170㎠ |
S型換気棟2P | 340㎠ |
例として、天井面積100㎡の屋根にS型換気棟1PとS型換気棟2Pを使用した場合の計算方法を見てみましょう。
<天井面積が100㎡の場合の必要換気面積>
100㎡×1/1600=0.0625㎡=625㎠
換気棟のタイプ | 計算方法 | 必要な個数 |
S型換気棟1P | 625÷170=3.6764・・・ | 4個以上 |
S型換気棟2P | 625÷340=1.8382・・・ | 2個以上 |
このように、天井面積と使用する換気棟のタイプにより必要個数を算出することができます。
換気棟の費用
換気棟の設置費用の目安は、1ヶ所あたり25,000円~です。
たとえば換気棟を2個設置するなら50,000円~、4個設置するなら100,000円~が相場になります。
ただし、屋根の形状や換気棟の長さなどにより金額は異なるため、おおまかな目安として考えてください。
換気棟のメンテナンス方法
ここでは換気棟のメンテナンス方法について解説します。
換気棟のメンテナンス方法は主に次の3つです。
- 釘・ビスの固定
- シーリング材の補修
- 塗膜保護
換気棟は雨や風、太陽光などの影響を受けやすいため、雨漏りを防ぐためにも定期的なメンテナンスが必要です。
換気棟は屋根の上にあり自分で点検するのは難しい場所なので、専門業者に確認してもらうことをおすすめします。
釘・ビスの固定
換気棟や棟板金などを固定している釘やビスは、経年によりゆるんだり抜けたりすることがあります。
強風の影響で換気棟が外れてしまうこともあり大変危険なので、定期的に釘やビスの締め直しをすることが大切です。
シーリング材の補修
換気棟と棟板金の間を埋めているシーリング材も定期的な補修が必要です。
シーリング材が劣化すると、亀裂が生じたり剥がれたりして内部に雨水が浸入しやすくなります。
シーリングの亀裂や剥がれは雨漏りの原因になることがあるので、定期的にメンテナンスを行いましょう。
塗膜保護
換気棟は定期的に塗り替えをして塗膜を保護することが大切です。
換気棟は金属製であることが多く、さび止めや塗料を塗ってありますが、経年によって塗膜が剥がれたりさびたりすることがあります。
塗膜の剥がれやさびは雨漏りのリスクを高めるので、定期的に塗り替えを行いましょう。
屋根裏換気はDIYでも可能?
換気扇を使う方法であれば、DIYで屋根裏換気することも可能です。
ここではDIYで屋根裏の換気をする最もシンプルな方法を簡単に解説します。
注意点もあわせてまとめましたので、DIYで屋根裏換気をする前に確認しておくとよいでしょう。
DIYで屋根裏換気する方法
DIYで屋根裏換気をする最もシンプルな方法は、天井の点検口に換気扇を設置するやり方です。
点検口に換気扇を設置して室内の空気を屋根裏に吸い込ませるため、屋根裏にこもった空気を効率的に外に逃がしやすくなります。
必要なもの
換気扇、木材、ノコギリ、ドライバーなど
DIYで屋根裏換気をする手順
DIYで点検口に換気扇を設置するおおまかな手順は次の通りです。
- 点検口のフタ(扉)を外す
- 木材でフタの枠部分に合わせた木枠を作る
- 木枠に換気扇を取り付ける
- フタの枠部分に木枠ごと換気扇を取り付ける
- 点検口に換気扇付きのフタを取り付ける
DIYで屋根裏換気するときの注意点
DIYで天井の点検口に換気扇を設置する場合は、いくつか注意点があります。
- 点検口を確認する
- 空気の通り道を確保する
- 電源を確保する
- 冬場は使わない
- 気密性を考慮する
- ホコリを吸い込む可能性を考慮する
自分で屋根裏換気をするのは難しいと感じたら、無理をせず専門業者に依頼しましょう。
点検口を確認する
天井の「点検口」は天井裏内部の確認や点検のための開口部で、お住まいによって位置が異なります。
点検口に換気扇を設置して屋根裏換気をする場合は、まずどこに点検口があるのか確認しておきましょう。
空気の通り道を確保する
点検口から屋根裏に空気を送り込んで換気するには、空気の取り入れ口と排出口が必要です。
点検口のある部屋の窓を開けるなどで、外の空気が入るようにするとよいでしょう。
また、屋根裏の空気の排出口(軒裏の換気口など)がなければ換気できません。
点検口を開けたときに空気が中に入るかどうか、風の流れをチェックしておきましょう。
電源を確保する
換気扇を作動させるには電源の確保も必要です。
コンセントがどこにあるか確認しておきましょう。
点検口の近くにない場合は延長コードなどで電源を確保することも可能ですが、コンセントの増設は電気工事士の資格がないと行えないのでご注意ください。
冬場は使わない
天井の点検口に換気扇を設置して空気を送り込む場合は、冬場を避けて夏場の暑い時期だけ使用するようにしましょう。
冬の気温が低い時期に換気扇を回すと、生活空間の温かく湿った空気が屋根裏に入り込みやすくなります。
冬場は結露を悪化させる可能性が高いので使用しないほうが無難です。
気密性を考慮する
DIYで換気扇を取り付ける場合は、気密性を考慮することが大切です。
換気扇の周りなどに隙間があると、換気扇を使わないときも生活空間の空気が屋根裏に入り込んでしまいます。
また、点検口に換気扇を取り付けると換気扇は水平になります。
水平に設置すると換気扇のシャッターがしっかり閉じないこともあるので注意が必要です。
ホコリを吸い込む可能性を考慮する
換気扇を回すと、室内の空気と一緒にホコリも屋根裏に吸い込まれる可能性があります。
万が一屋根裏の空気の排出先にホコリが詰まると、空気の通り道を確保できません。
DIYで屋根裏の換気をする場合は、「うまくいかない可能性」があることを覚えておくとよいでしょう。
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