この記事を読んでいるあなたは、
- セメント瓦が塗装の必要があるかを知りたい
- 瓦塗装について知りたい
- 屋根瓦の塗装のリフォーム手順を知りたい
上記のように考えているかもしれません。
今回は、そんなあなたに向けて「セメント瓦の塗装が必要なのか、費用や手順」などをお伝えしていきます。
瓦の種類から塗装が必要か判断する
瓦屋根は種類によって塗装が必要かどうかを判断します。
瓦の種類は主に次の3つです。
- 粘土系瓦
- セメント系瓦
- 金属系瓦
ここでは瓦の種類ごとの塗装の必要性について説明します。
粘土系瓦
和風住宅に多い「和瓦」や粘土を主原料とする「洋瓦」などの粘土系瓦は、基本的に塗装の必要はありません。
粘土系瓦は焼き物の器のように表面から水を吸い込むことがないため、塗装により防水性を高める必要がないのです。
ただし、雨漏りなどのトラブルを防ぐには、定期的に屋根の点検・メンテナンスをする必要があります。
粘土系瓦の耐用年数は50年以上と長いのですが、棟と瓦の間を埋めている漆喰や瓦の下のルーフィングシートの寿命は10年~30年程度と短いためです。
また、屋根の色を変えるために一度塗装をしてしまった場合は、定期的な塗り替えが必要となります。
セメント系瓦
セメント瓦やモニエル瓦などのセメント系瓦の場合は、防水性を高めるための塗装メンテナンスが欠かせません。
製品化されたセメント系瓦は表面に塗装が施されていますが、紫外線や雨風などにより塗膜が劣化し、雨水を吸い込みやすくなるためです。
砂とセメントを主成分とするセメント系瓦は、雨水を吸って膨張する・乾くと収縮するという性質があり、これを繰り返すうちに割れたり欠けたりするようになります。
また、雨水を吸ったセメント系瓦はカビやコケ、藻が発生しやすくなるため、美観を保つには塗装が必要です。
セメント系瓦の耐用年数は30年~40年ですが、美観を保ち長持ちさせるためにも、定期的な塗装および漆喰メンテナンスを行いましょう。
金属系瓦
ガルバリウム鋼板やトタンなどの金属系の屋根材は塗装が必要です。
金属系瓦は軽量な屋根材で防水性・耐久性に優れていますが、経年劣化によりサビが発生することがあります。
サビをそのままにしておくとやがて腐食し、穴があいて雨漏りの原因になる可能性があるので注意が必要です。
「サビに強い」「サビにくい」とされるガルバリウム鋼板の屋根でも、絶対にサビないという保証はありません。
金属系瓦の本来の寿命を延ばすためにも定期的に点検を行い、屋根材や塗料の種類に応じて適切なタイミングで塗装を行いましょう。
塗装をおこなわなかったらどうなる?
塗装メンテナンスが必要な屋根材の塗装を行わないでいると、見た目が悪くなる、雨漏りなどのトラブルが起こりやすくなるなどのデメリットがあります。
どんな塗料でも紫外線や雨風などにより劣化が進み、やがて防水性が損なわれるからです。
例えばセメント系瓦の場合は塗膜が劣化すると雨水を吸いやすくなり、瓦がひび割れたりカビやコケ、藻が発生したりします。
金属系瓦の場合はサビが発生しやすくなり、放置するとサビが広がって穴があくことがあります。
屋根の劣化状態によっては、塗装ではなく屋根の葺き替えなどの大掛かりな工事が必要となるので、定期的に塗装メンテナンスを行いましょう。
セメント瓦塗装の特徴
セメント系の瓦屋根の塗装には次のような特徴があります。
- メンテナンス費用が安い
- モニエル瓦の場合は塗膜が剥がれやすい
それぞれ詳しく説明します。
メンテナンス費用が安い
セメント系の瓦塗装には、他の方法に比べるとメンテナンス費用が安いという特徴があります。
セメント系瓦の塗装以外のメンテナンス方法は「葺き替え」のみです。
金属系瓦であればカバー工法(重ね葺き)によるメンテナンスも可能ですが、重量のあるセメント系瓦の場合は基本的に施工できません。
以下にメンテナンス方法ごとのおおまかな費用相場をまとめました。
ただし、塗料や葺き替えに使用する屋根材の種類などにより金額は変動します。
メンテナンス方法 | 費用相場(屋根面積100㎡) |
塗装 | 約40万円~ |
葺き替え | 約130万円~ |
現在の屋根をあと20年程度は使いたいという場合は葺き替えが向いていますが、高額な費用がかかるのが一般的です。
その点塗装工事であれば、1回のメンテナンス費用を安くすることができます。
また、セメント系瓦のほとんどが製造を中止しているため、同じ瓦での葺き替え工事は難しい状況です。
現在のセメント系瓦をそのまま使い続けたい場合は、長持ちさせるためにも定期的に塗装メンテナンスを行いましょう。
モニエル瓦の場合は塗膜が剥がれやすい
セメント系瓦のうちモニエル瓦の場合は、十分な下地処理をしないと塗膜が剝がれやすいという特徴があります。
モニエル瓦(乾式コンクリート瓦・乾式洋瓦)はヨーロッパ発祥の輸入品の屋根材で、表面に「スラリー層」という着色されたセメントの層がある瓦です。
スラリー層は薄くてもろいため、塗り替え前にしっかり取り除かないと塗膜がスラリー層と共に剥がれてしまうという施工不良が起こります。
そのためモニエル瓦の塗装の場合は、高圧洗浄やケレンなどの下地処理でスラリー層を完全に除去することが大切です。
モニエル瓦の塗装でトラブルを起こさないためにも、施工知識と実績のある塗装業者に依頼することをおすすめします。
セメント瓦の塗装の注意点
セメント系瓦を塗装する場合、スレート瓦と同様に高圧洗浄、下地処理、塗装作業という工程が必要ですが、注意すべき点が3つあります。
- 下地処理を十分におこなう
- 下塗り材を十分に塗布する
- DIYは危険
ここでは、セメント系瓦屋根の塗装を成功させるための3つの注意点について見ていきましょう。
下地処理を十分におこなう
セメント系瓦の塗装では、下地処理を十分に行う必要があります。
下地処理が不十分なまま塗装すると、塗膜が浮いたり剥がれたりするなどの不具合が出る可能性が高いからです。
下地処理とは既存の塗膜や汚れ、カビ、コケ、藻などを除去して瓦表面を整える工程のことで、高圧洗浄やケレン作業などがあります。
特にモニエル瓦の場合は、表面のスラリー層を落としきらずに塗装すると新しい塗膜が剥がれやすくなるため注意が必要です。
セメント系瓦の塗膜を長持ちさせて美観を保つには、入念な下地処理が必須であることを覚えておくとよいでしょう。
下塗り材を十分に塗布する
入念な下地処理や適切な補修作業を行ったあとは、十分に下塗り材を塗布する必要があります。
下塗り材を塗布するのは、瓦表面と上塗り塗料をしっかり密着させて塗膜を長持ちさせるためです。
特にセメント系瓦の場合は、下地処理後はセメントの素地がむき出しになることが多く、思いのほか下塗り材を吸収することがあります。
そのため適切な量の下塗り材を塗布しないと、上塗り塗料を密着させるという役割を果たせなくなってしまうのです。
塗膜を長持ちさせるためにも、セメント系瓦に適した下塗り材を使って十分に塗布することが大切です。
DIYは危険
セメント系瓦に限ったことではありませんが、高所作業である屋根の塗装をDIYで行うのは大変危険です。
知識も経験もない人がセメント瓦の塗装を行うと、瓦を踏み抜いたり落下したりというような思わぬ事故につながる恐れがあります。
また瓦屋根の塗装では、ズレた瓦や割れた瓦の補正、補修などが必要であり、正しい手順で行わないと雨漏りにつながる可能性が非常に高いです。
DIYでの屋根塗装のメリットは費用を抑えやすいことですが、雨漏りなどのトラブルが起こると専門業者に依頼することになり、かえって高くなってしまいます。
DIYでの屋根塗装はリスクが高いため、必ず専門業者に依頼するようにしましょう。
セメント瓦の塗装のリフォーム手順
セメント系瓦の屋根塗装リフォームは、次のような手順で行います。
- 足場設置
- 高圧洗浄
- 下地処理・補修
- 養生
- 下塗り
- 中塗り・上塗り
- 足場解体・撤去
ここではそれぞれの工程について説明していきます。
足場設置
一般的な屋根塗装リフォームと同様に、作業の安全性と効率性をあげるために足場を設置します。
高圧洗浄の水や塗料の飛散防止のためにシートで覆う作業も行うのが一般的です。
高圧洗浄
高圧洗浄は、特殊な高圧洗浄機を使って屋根の汚れやカビ、コケ、藻、既存の塗膜などを徹底的に洗い落とす作業です。
高圧洗浄後は瓦表面を十分に乾かす必要があります。
下地処理・補修
下地処理は、高圧洗浄では落としきれなかった古い塗膜や汚れを手作業で完全に落としていく重要な工程です。
瓦と瓦の隙間の汚れもしっかり除去し、ズレた瓦や割れた瓦があれば塗装前に補正や補修、必要に応じて瓦の交換も行います。
養生
養生の工程では、塗装する部分以外の箇所をビニールシートやテープなどで覆う作業を行います。
養生する場所は、植木や窓、車、エアコンの室外機など、塗料がついたら困るところすべてです。
下塗り
下準備が終わったら上塗り材の密着度を高めるために下塗り材を塗布します。
セメント系瓦の場合は水分を吸い込みやすい状態なので、塗る回数にこだわらず下塗り材を十分塗布することが大切です。
中塗り・上塗り
下塗り材が乾燥したら中塗り・上塗りの工程に移ります。
基本的に同じ塗料で2度塗りしますが、これは塗膜に十分な厚みを持たせて耐久性を高めるためです。
足場解体・撤去
足場を解体・撤去して工事完了です。
セメント系瓦屋根の塗装にかかる費用
セメント系瓦の塗装にかかる費用相場は40万円~70万円程度です。
ただし、屋根の面積や使用する塗料の種類、屋根の状態、足場面積などにより金額は変動します。
屋根瓦の塗装費用の内訳と金額のおおまかな目安は次の通りです。
作業内容 | 平米単価 |
足場仮設 | 700円~1,000円 |
高圧洗浄 | 200円~400円 |
下地調整(ケレン) | 400円~3,000円 |
養生 | 250円~400円 |
下塗り | 500円~700円 |
中塗り・上塗り | 1,800円~5,000円 |
諸経費 | 全体の5%~10% |
このほか、屋根材の種類や状態などにより別途費用が発生することがあります。
また、塗料の種類別の平米単価と耐用年数は以下の通りです。
塗料の種類 | 平米単価 | 耐用年数 |
ウレタン塗料 | 1,800円~2,000円 | 5~7年 |
シリコン塗料 | 2,300円~2,500円 | 6~10年 |
ラジカル塗料 | 2,500円~3,000円 | 10~15年 |
フッ素樹脂塗料 | 3,000円~5,000円 | 10~15年 |
無機塗料 | 3,800円~5,000円 | 20~25年 |
耐用年数が長い塗料ほど1回の塗装工事にかかる金額が高くなるのが一般的です。
しかし、将来的なメンテナンス回数は少なくなり、長い目で見るとコストパフォーマンスがよくなります。
屋根の塗装工事では必ず足場代や人件費などが発生するため、塗り替え回数が少ないほど費用を抑えられるのです。
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今回は、「セメント瓦の塗装が必要なのか、費用や手順」などを解説しました。
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