この記事を読んでいるあなたは、
- トタン外壁についてを知りたい
- トタン外壁と他の外壁の違いを知りたい
- トタン外壁塗装の費用やメンテナンス費用を知りたい
上記のように考えているかもしれません。
今回は、そんなあなたに向けて「トタン外壁についてや他の外壁との違い、メリット・デメリット」などをお伝えしていきます。
トタン外壁とは?
トタン外壁とは、トタン(表面を亜鉛でメッキした鋼板「亜鉛メッキ鋼板」)を使った外壁です。
金属系サイディングの一種であるトタンには、鋼板よりもサビにくい、軽量で安価である、加工しやすいなどの特徴があります。
トタンの表面はサビないように亜鉛でコーティングされていますが、キズや塗膜の剥がれなどが原因でサビが発生することがあるので注意が必要です。
長持ちさせるためにも定期的な点検・メンテナンスを行いましょう。
また、トタンは1970年代中頃~1990年頃に人気のあった外壁材で、近年ではより耐食性に優れたガルバリウム鋼板などが金属系サイディングが主流となっています。
トタン外壁と他の外壁の違い
ここではトタンと他の外壁材の違いについて説明します。
主な外壁材の種類は次の8つです。
- 窯業系サイディング
- 金属系サイディング
- 木質系サイディング
- 樹脂系サイディング
- モルタル
- ALC
- タイル
トタンは「金属系サイディング」に含まれるため、ここでは金属系サイディングを「アルミ」と「ガルバリウム鋼板」と「トタン」にわけてまとめています。
外壁材の種類 |
特徴 |
1㎡当たりの単価相場 |
耐用年数 |
メンテナンス頻度 |
窯業系サイディング | 耐火性・耐震性・防水性・意匠性に優れている 工期が短い |
3,500円~6,000円 |
40年 |
7~10年 |
金属系サイディング(ガルバリウム鋼板) |
軽量で耐火性・耐震性・耐食性に優れている |
5,500円~6,000円 |
20~30年 |
10~15年 |
金属系サイディング(トタン) |
軽量で安価である 耐火性・耐震性に優れている |
700円~2,000円 |
10~20年 |
5~8年 |
木質系サイディング |
木の風合いを楽しめる 断熱性に優れている |
6,000円~8,000円 |
15~30年 |
8~10年 |
樹脂系サイディング | 軽量で塩害・凍害に強い |
7,000円~9,000円 |
30年~40年 |
10~20年 |
モルタル |
耐火性・意匠性に優れている |
1,500円~4,000円 |
30年 |
8~10年 |
ALC(軽量気泡コンクリート) |
軽量で耐火性・耐震性・断熱性・遮音性に優れている |
7,000円~15,000円 |
60年 |
10~15年 |
タイル |
耐震性・意匠性・耐候性・耐火性に優れている |
7,000円~9,000円 |
40年 |
10年程度 |
アルミ |
耐久性・断熱性・防火性・デザイン性に優れている |
10,000円~ |
50年 |
20~30年 |
こうして比べてみると、トタンは他の外壁材よりも安価ですが、耐用年数やメンテナンス周期が短いことがわかります。
トタン外壁の種類やデザイン例
トタン外壁は大きく次の4タイプに分けられます。
- 波トタン
- 角波トタン
- リブ波トタン
- スパンドレルトタン
ここではそれぞれの特徴や使われている箇所、価格相場などについて説明します。
波トタン
波トタンは最もポピュラーなタイプで、横から見ると波うっているような形状に加工されたトタンです。
波トタンには波部分の高さや幅の異なる「小波」と「大波」の2種類があり、それぞれ一般住宅の外壁や倉庫の屋根・外壁などに使用されています。
費用相場は約700~1,000円/㎡と安価であり、波のような形状のため塗装しやすい外壁材です。
ただし、横方向からの圧力に対する抵抗力が弱く、めくれたりたわんだりすることがあります。
角波トタン
角波トタンは、波トタンの波部分が角ばっているタイプのトタンです。
波トタンが緩やかなカーブを描いているのに対し、角波トタンは平面が多く、波トタンよりも横方向からの圧力に対する抵抗力が優れているという特徴があります。
角波トタンは倉庫や工場、店舗外壁などに使用されることが多く、耐久性を重視したい人に向いている外壁材です。
費用相場は波トタンよりもやや高めの約700円~1,300円/㎡となっています。
また角波トタンの場合は、塗装の際に塗り継ぎ部分がムラにならないように丁寧な作業を行うことが大切です。
リブ波トタン
リブ波トタンは角波トタンよりも平面部分が多いトタンで、1枚板ではなく細長い板を並べて施工するタイプのトタンです。
幅が約30センチ程度と1枚のサイズが小さいため、部分交換しやすいというメリットがあります。
もうひとつのメリットは、端の山部分を重ねて施工するので雨漏りしにくいという点です。
リブ波トタンは比較的デザインやカラーバリエーションが多く、和風の建物などに使用されています。
スパンドレルトタン
スパンドレルトタンは両端部分が特殊な形状に折り曲げられており、固定に使うビスや釘が見えないようになったトタンです。
端部分を重ねて施工する上、ビスや釘などが雨に当たりにくい構造になっているため、より雨漏りしにくいという特徴があります。
また強度や耐久性に優れており、天井や外壁、軒天、看板下地などに使用されることが多いです。
費用相場は約1,500円~1,900円/㎡とやや高額ですが、雨水の侵入を防いで十分な雨漏り対策をしたい、長持ちさせたいという場合はスパンドレルトタンが向いています。
トタン外壁のメリット
外壁材をトタンにすると、主に次のようなメリットがあります。
- 費用を抑えられる
- 耐震性の向上につながる
- 耐久性が高い
ここではトタン外壁の3つのメリットについて見ていきましょう。
費用を抑えられる
トタン外壁のメリットのひとつは、費用を抑えやすい点です。
トタンの平米単価は700円~2,000円程度と比較的安価であるため、施工費用を安くすることができます。
またトタンはDIYで使われることが多く、扱いやすいという特徴があります。
施工が容易な建材であれば工期が短くなりやすいため、施工費用のうちの人件費を抑えることも可能です。
耐震性の向上につながる
トタンを外壁に採用すると、建物の耐震性の向上が期待できるというメリットがあります。
地震の際の揺れの幅に関係しているのは屋根や外壁の重量です。
屋根や外壁が重いほど建物への負荷が大きくなり、地震に弱い建物になってしまいます。
その点、薄い金属の板であるトタンは軽量であるため、建物の耐震性の向上につながるのです。
ここで、トタンと主な外壁材の平米あたりの重量を比べてみましょう。
トタンの重量は窯業系サイディングの1/3.5、そしてモルタルの1/8程度と非常に軽量であることがわかります。
ただし、外壁をトタンに張り替えれば必ず耐震性が高まるというわけではないので注意が必要です。
たとえばモルタルの外壁をトタンに張り替えると、屋根の重量とのバランスが崩れてしまい、耐震性が低下する恐れがあります。
耐震性を高めるためにトタン外壁を採用する場合は、建物の構造や屋根材の種類、立地などを考慮することを覚えておきましょう。
耐久性が高い
トタンは比較的安価な割に長持ちする外壁材で、耐久性に優れているというメリットがあります。
耐用年数は約10年~20年で窯業系サイディングやモルタルよりも短いのですが、コストパフォーマンスが高い外壁材です。
ただし、トタン外壁を長く使い続けるには定期的なメンテナンスが欠かせません。
耐久性を高めて長持ちさせるためにも、こまめに塗装メンテナンスを行いましょう。
トタン外壁のデメリット
トタン外壁には次のようなデメリットもあるので覚えておくと安心です。
- 錆びやすい
- 遮熱性が低い
- 他の外壁材での張替えができない可能性がある
- 遮音性が低い
ここではトタン外壁の4つのデメリットについて説明します。
錆びやすい
トタンはサビを防ぐために亜鉛コーティングが施されていますが、さまざまな要因により錆びやすいというデメリットがあります。
たとえば、外壁表面にキズができたり塗膜が剥がれたりしていると、そこから雨水が侵入してサビが発生する可能性が高いです。
またトタン外壁の場合は、施工時の切断面から発生したサビや、他の金属からうつったサビが広がることがあります。
サビが軽度であれば塗装によるメンテナンスが可能ですが、サビが広範囲に広がっていたり穴や裂け目ができたりしている場合は注意が必要です。
サビを防いで長持ちさせるためにも、定期的な点検・塗装メンテナンスを行いましょう。
遮熱性が低い
トタン外壁には、熱伝導率が高く遮熱性・断熱性が低いというデメリットがあります。
夏場は外の熱が室内に伝わりやすく、冬場は室内の熱が外に逃げやすくなるのです。
他の外壁材での張り替えができない可能性がある
トタン外壁を張り替える場合、使用できる外壁材の種類が限られる可能性があります。
トタンよりも重量のある窯業系サイディングなどの外壁材で張り替えると、建物全体の重量が増して耐震性に悪影響を及ぼす恐れがあるためです。
またトタン外壁の場合は、基本的にカバー工法で施工することができません。
重量が増すだけでなく、既存のトタンに残っているサビがうつったり、ガルバニック腐食が起こってサビたりする可能性があるためです。
トタン外壁の場合は、トタンあるいはガルバリウム鋼板といった軽量な外壁材で張り替えることをおすすめします。
遮音性が低い
トタン外壁は遮音性が低く、熱だけでなく音も伝えやすいというデメリットがあります。
たとえば小石などの堅いものや雨・雹が外壁に当たる音、また室内からの音漏れが気になる可能性が高いです。
トタン外壁の遮音性に不安がある場合は、壁内部に吸音材を入れたり、外壁表面を遮音塗料で塗装したりするなどで防音対策するとよいでしょう。
なお、同じ金属系サイディングのなかでも、断熱材と一体になったガルバリウム鋼板の場合は比較的遮音性が高いといわれています。
トタン外壁の外壁の劣化サイン
トタン外壁が劣化すると、主に次のような症状が見られるようになります。
- チョーキング
- サビが発生
このほか、トタン外壁のへこみや変形、釘の劣化によるトタンの浮きなども劣化症状です。
トタン外壁に劣化サインが見られたら、できるだけ早めに業者に相談して適切な処置を行うことをおすすめします。
チョーキング
トタン外壁のチョーキング現象は劣化を知らせるサインのひとつです。
チョーキング現象とは、外壁表面にチョークの粉のようなものが出てくる現象で、塗料(塗膜)が劣化することで発生します。
塗膜の劣化はトタン外壁の防水性や耐久性の低下を意味しており、そのままにしておくと雨水や紫外線などの影響を受けやすくなるため注意が必要です。
さらに劣化が進むと塗膜のひび割れや剥がれにつながる可能性が高く、雨水が浸入してサビが発生することがあります。
チョーキング現象はトタンの表面を手で触ることでチェックできるため、定期的に確認しておくとよいでしょう。
サビが発生
トタン外壁の表面や固定している釘などにサビが発生しているときも、メンテナンスを行う必要があります。
サビが発生する原因は、塗膜の劣化や表面のキズ、もらいサビなどです。
トタン外壁のサビはそのままにしておくとどんどん広がってしまい、やがて穴が開いて雨漏りを引き起こすことがあるため注意しましょう。
サビが発生している場合はサビの除去と塗装メンテナンスを行うのが一般的ですが、穴が開くほど劣化しているときは部分的な補修や全体的な張り替えが必要です。
全体的な張り替えとなると費用もかさみやすいため、サビを見つけたら早めに対処することをおすすめします。
トタン外壁にかかる費用やメンテナンスコスト
ここではトタン外壁にかかる費用や、塗装・張り替えといったメンテナンスにかかる費用について説明します。
費用やメンテナンスの平方メートルあたりの費用相場は以下の通りです。
トタンの材料費用 |
約2,000円~/㎡ |
トタン外壁の塗装費用 |
約2,000円~3,000円/㎡ |
トタン外壁の部分補修費用 |
約3,000円~4,000円/㎡ |
トタン外壁の全面張り替え費用 |
約4,500円~6,500円/㎡ |
ただし、トタンの材料費用相場やメンテナンス費用相場は、使用する商品や塗料の種類、既存の外壁の劣化状態などにより変動します。
また、足場の設置費用や既存のトタン外壁の撤去・廃棄処分費用、外壁の洗浄費用や諸経費などが別途必要です。
たとえば30坪程度の建物で外壁面積を150㎡とした場合、塗装や張り替えにかかるおおまかな費用相場は次のようになります。
塗装メンテナンス | 約570,000円~750,000円 |
トタンからトタンに全面張り替え | 約690,000円~900,000円 |
トタンからトタン以外の金属系サイディングに全面張り替え |
約900,000円~1,500,000円 |
※ここでは足場設置費用を約500円~800円/㎡、既存のトタン外壁の撤去費用を約1,000円~1,500円/㎡、外壁洗浄費用を約150円~200円/㎡として計算しています。
トタン外壁の施工費用は他の外壁材に比べると安価です。
しかし塗装や補修、張り替えといったメンテナンスにかかる費用は、既存の外壁の状態や使用する塗料・外壁材の種類などにより変動します。
トタン外壁のメンテナンスコストに関しては、必ずしも安く済むとは限らないことを覚えておくとよいでしょう。
トタン外壁の実際の施工・調査例
ここではトタン外壁の実際の施工の様子や調査例を3つご紹介します。
トタン壁と立平屋根のお住まいの建物調査
築30年以上経過しているお住まいの建物調査です。
トタン外壁には色あせやチョーキング現象、塗膜の剥がれといった劣化症状が見られました。
塗膜の防水機能が低下している状態であり、放置するとサビの発生につながる恐れがあるので注意が必要です。
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トタン外壁の張り替え・塗装工事
築40年ほど経過しているお住まいの外壁張り替え・塗装工事です。
建物の増築部分のトタン外壁には全体的にサビが発生しているため、塗装メンテナンスではなく張り替えをご提案。
既存のトタンを撤去し、防水シートを設置したのちに新しいトタン外壁を設置、そして塗装を行うことで、同じ建物とは思えないほど美しく仕上がりました。
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トタン外壁の塗装工事
トタンとモルタルを使った外壁の塗装工事です。
トタン外壁には白サビが変化した赤サビが発生しており、穴は開いていないものの劣化が進んでいる状態でした。
下地処理として洗浄・サビの除去、ていねいなケレン作業を行ったあと、塗装作業を行いました。
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トタン外壁がおすすめな建物や人を紹介
最後に、トタン外壁の導入が向いている人や建物について説明します。
その前に、現在の金属系サイディングの主流について触れておきましょう。
現在の主流はトタンではなくガルバリウム鋼板であり、新築の建物の外壁にトタンを採用することはそう多くありません。
どちらも同じ金属系サイディングですが、ガルバリウム鋼板はトタンよりもサビにくく耐久性に優れているためです。
ここで、トタンとガルバリウム鋼板を比較してみましょう。
トタン |
ガルバリウム鋼板 |
|
正式名称 |
亜鉛メッキ鋼板 |
アルミニウム亜鉛合金メッキ鋼板 |
耐用年数 |
10年~20年 |
20年~30年 |
メリット |
安価である |
トタンよりもサビに強い 断熱材一体型であれば遮音性・断熱性が高い |
デメリット |
サビに弱い |
トタンよりも高価である 遮音性・断熱性が低い サビないわけではない |
このような違いがあることから、トタンではなくガルバリウム鋼板を選ぶ人が増えています。
しかしトタンは安価で扱いやすいため、次のような人・建物の場合はトタン外壁がおすすめです。
- 費用を抑えたい人
- 小屋や物置
それぞれ説明していきます。
費用を抑えたい人
トタン外壁はできるだけ費用を抑えたい人におすすめです。
今のお住まいの外壁材がトタンで、張り替えリフォームを検討している場合、ガルバリウム鋼板よりもトタンのほうが費用を抑えることができます。
また、売却を検討していて見栄えはよくしたいがあまりお金をかけたくない人や、建て替える可能性があるような場合は、トタン外壁の採用も視野に入れるとよいでしょう。
小屋や物置
トタンは軽量で安価な割に長持ちするため、小屋や物置の建材に最適です。
用途にもよりますが、小屋や物置であれば雨音や温度変化を気にする必要はありません。
またトタンは扱いやすい建材なので、DIYで小屋や物置を作ることも可能です。
木目などの模様がプリントされたトタン(プリント鋼板)もあるので、デザイン性を重視したい人にも向いています。
トタン外壁の塗装はリメイクホームにおまかせください!
トタン外壁についてや他の外壁との違い、メリット・デメリットについて解説しました。
私たちリメイクホームは、愛知県を中心に外壁塗装や屋根塗装、リフォームを手がけています。
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